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こんばんわ。管理人のuncleゆーさん(@UncleYusan)です。
9月17日に、三菱UFJ銀行が子会社のユニオンバンク(正式には、MUFJユニオンバンク)の売却を検討していることをブルームバーグが報じました。
さらに、本日、9月21日に、日経新聞がユニオンバンクのリテール部門を米地銀最大手のUSバンコープに売却すると伝えました。
ユニオンバンクは、日本在住者が日本に居ながらにして口座を開設できる唯一の米国銀行です。
米国の証券会社への送金や各種商品・サービスの支払のために、口座を開設されている方も多く、もし売却された場合、口座を維持することができるのか気になっている人も多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では、報道内容と今後の見通しついて、解説します。
ユニオンバンクの詳細については、こちらをご覧ください。
報道内容
ブルームバーグの報道の要点は次のとおりです。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は米銀行部門の売却を検討していることを事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
- 三菱UFJはMUFGユニオンバンクの選択肢を探るため、アドバイザーと取り組んでいる。
- 三菱UFJは一部の買い手候補と非公式の協議を行ったが、正式な入札手続きは行っていない。
「米銀行部門」とありますが、米国内においては、「米州MUFGホールディングスコーポレーション(MUFG Americas Holdings Corporation、略称MUAH)」という連結子会社の持株会社が統括をしています。
この会社の傘下に、「MUFGユニオンバンク」、「MUFGセキュリティーズアメリカ」、「米国MUFGファンドサービス」などの子会社があります。
次に、日経新聞の報道の要点は、次のとおりです。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は21日、傘下の米地銀、MUFGユニオンバンクの個人・中小企業部門を米地銀最大手のUSバンコープに売却すると発表した。
- 対価として受け取る現金とUSバンコープの株式価値はあわせて8800億円になる。
- ユニオンバンクは、この1年間で店舗数を13%削減するなどのリストラを進めている。
- ユニオンバンクの総資産額は1330億ドルで、全米で27位。住宅ローンなど個人向けから法人融資まで手掛ける。西海岸を中心に約300店舗を構える。
- 三菱UFJは売却で現金とUSバンコープ株を受け取り、同社と資本提携する見通し。
- USバンコープは米最大の地銀。「USバンク」の名称で、全米約2300店で店舗を展開しており、総資産額は約5500億ドルとシティグループに次ぐ第5位。
2020年度は、ユニオンバンクの税引前当期純利益が10億円でした。
今年に入り、新しいCEOを迎え、事業の売却など更なるリストラを進めています。
売却された後どうなるか?
今回の売却の件を、20日にユニオンバンクのカスタマーサービスに電話をして確認してみたところ、「そうした話は、職員は聞いていません。」と驚いていました。
「規約において、三菱UFJ銀行と資本関係がなくなった場合、口座の廃止や解約の要件になっているのか?」と尋ねたところ、「そうしたものはありません。一般論でいうと仮にどこかに売却されても、新しい銀行のもと口座は維持されると思います。」との回答でした。
また、「金融機関によっては、非居住者の口座をInternatinal Accountとして在住者の口座と扱いが異なったりする場合があるが、『カルフォルニアアカウント・プログラム』の口座はどうか?」という質問に対しては、「在住者の口座と同様の扱いです。」との回答でした。
上記のカスタマーサービスの回答も踏まえて、売却後における、既存の「口座開設者」はどうなるかについて考えてみます。
これらのプログラムにおいて、三菱UFJ銀行の役割は、ユニオンバンクを所属外国銀行とする外国銀行代理銀行として、セービングス口座とチェッキング口座の契約締結の媒介です。すなわち、「勧誘」や「取次」の役割だけを担っています
実際の口座の契約締結は、口座開設者とユニオンバンクとの間で行われているわけですので、特段ユニオンバンクが売却されたからといって、即「廃止」、「解約」ということにはならないはずです。
カスタマーサービスの回答にもあったように、日本在住者の口座も米国在住者のものと変わらないものなので、仮ユニオンバンクが売却されても新しい銀行に口座は移管され維持されると考えられます。
その場合、口座開設者はシティバンクに次ぐ総資産額第5位、全米約2300店の店舗数を有する銀行の口座を持つことができるわけです。
もしそうなれば、口座開設者はよりも大きな安心と利便性を獲得することができます。
次に、一般向け「カリフォルニアアカウント・プログラム」と米国駐在員向け「パシフィックリム・カンパニーベネフィット・プログラム」はどうなるのか検討したいと思います。
日経の記事からは、三菱UFJとUSバンコープとは多少資本関係が残るようですが、リテール部門を売却してしまえば、三菱UFJ銀行に「勧誘」や「取次」をするメリットがなくなってしまうので、両プログラムは終了すると考えるべきでしょう。
つまり、三菱UFJ銀行を介しての新規口座開設はできなくなるということでです。
次に、プログラムが終了した場合、ユニオンバンクが独自に日本在住者から新規口座開設の受付を継続する可能性はあるかということを検討したいと思います。
結論から言うと、可能性はきわめて低いと考えられます。
他に見られないこの特有な制度が、米国銀行規制当局に認められたのは、三菱UFJ銀行が日本在住の口座開設希望者の身元や与信内容などをきっちり確認するというのが前提になっていたはずです。
三菱UFJ銀行が手を引けばその前提が崩れてしまうことが、その理由です。
そもそもユニオンバンクが、単独で行えるかという問題もあります。
日本在住の口座開設希望者の身元や与信内容の確認などは大変手間とコストがかかることです。
日本語対応のカスタマーサービス部門を維持するコストも考えないといけません。
現在、経営状況が必ずしも芳しくないユニオンバンクが、こうしたコストをかけてまで売却後も日本在住者の新規受付を継続するとは考えにくいです。
ユニオンバンクのカスタマーサービスの部門のことを「ジャパニーズ・カスタマーサービスユニット」と呼んでいますが、このユニットのサービスは、とてもカスタマーフレンドリーです。
待ち時間も比較的短く、質問に対しても懇切丁寧に日本語で回答してくれます。
しかも日本から電話料金も無料。
売却された場合は、こうしたサービスも縮小されていく可能が高いと思います。
そうなると、既存の口座開設者にとっても「影響は大」だと言えます。
まとめ
今回の記事は、いかがでしたでしょうか?
本文でも記載したとおり、売却をされた場合、①新規口座開設ができなくなる可能性が高い、②既開設口座は維持される可能性高いと考えられますので、もし口座開設を検討しているのなら、早めに申し込みをされる方がよいと思います。
万一ユニオンバンクで新規口座開設できなくなった場合、ハワイに拠点があるいくつかの米国銀行なら日本在住者でも口座開設が可能です。
ただし、口座開設のためには、現地、ハワイに行き、手続きを行う必要があります。
現状のコロナ禍では、かなりハードルが高いと言えます。
ユニオンバンクの口座開設については、こちらの記事をご覧ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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