この記事は、3分で読めます。
こんばんわ。管理人のuncleゆーさん(@UncleYusan)です。
以前の記事で、米国株の取引に関して、FirtradeやInteractive Brokers(IB)のような米国証券会社と国内証券会社にわけて、売却益や配当の税金について整理しました。
売却より配当のほうが、税の取扱いに関して、大きな違いがあり、複雑です。
そこで、今回の記事では、米国株の配当に関して、改めて税金に関して整理しました。
売却益と配当の税制上の取扱いの違い
売却益に関しては、日本株と米国株では、ほんとんど差がありませんが、配当に関しては、「米国国内での源泉徴収」「配当控除」「外国税額控除」の3つの点で、米国株は、日本株と大きく違います。
米国内での源泉徴収
米国株の配当金は、まず米国にて10%の税金が差し引かれた後、残りの90%部分に対して日本にて20.315%が課税されます。
したがって、配当金が100とすると、源泉徴収後の手残りの金額は、下記の通り約71.7となります。
配当金100-71.7%=28.3%となり、配当金のうち、28.3%が源泉徴収される計算です。
日本株の場合、源泉徴収税率は20.315%ですから、米国株のほうがより多く徴収されることになります。
その上で、上記で挙げた3点の中から、有利な課税方法を選択することになります。
配当控除
日本株の配当金を総合課税で確定申告した場合、配当控除の適用がありますが、米国株の配当金の場合は、配当控除が適用されません。
そのため、日本株式の配当金であれば課税所得900万円以下なら総合課税で確定申告するのが有利なのですが、外国株式の配当金はそのラインが課税所得330万円以下に下がることになります。
分離課税か総合課税かの選択する際には、この点を忘れずに考慮しましょう。
外国税額控除
外国税額控除とは、米国など外国で課税された税金につき、国内外での二重課税排除の観点から、日本で課税された税金の額から差し引いてくれるという仕組みです。
10%相当の金額が戻ってきます。
米国株の場合、配当金の額のうち約28.3%が源泉徴収されています。
配当金以外の所得が多い人(課税所得695万円超)は、申告分離課税で確定申告し、かつ外国税額控除の適用を受けることで、およそ8.5%分を取り戻すことができます。
ちなみに、課税所得とは、所得税の課税対象となる個人所得のことです。収入から必要経費などを除いた「所得」から、基礎控除や配偶者控除などの各種所得控除の合計を引いた金額です。
所得が少なければ総合課税を選択
総合課税を用いるケースは、配当金以外の所得が少ないときです。
申告分離課税を選択し、かつ外国税額控除の適用を受けた場合の所得税の税率は15%(復興特別所得税を除く)となります。
したがって、課税所得が330万円以下であれば、所得税の税率は10%なので、申告分離課税や源泉徴収のみで完了させるより、総合課税の方が有利となります。
仮に配当金以外に他の所得がないとしても、日本株の配当金の場合は、総合課税で確定申告することにより、源泉徴収された税金がすべて戻ってきます。
しかし、米国株の配当金の場合は、日本国内で源泉徴収された税金はすべて戻ってきますが、米国で源泉徴収された税金については、外国税額控除として差し引ける日本国内の税金がそもそもないため、戻ってきません。
日本株と米国株の両方の配当金がある場合は?
日本株の配当金と米国株の配当金の両方がある場合、話がややこしくなります。
なぜならば、両方の配当金をあわせて、3つのうちどの方法が有利かを判定する必要があるからです。
例えば、日本株の配当金のみであれば総合課税で確定申告するのが有利、米国株の配当金のみであれば申告分離課税で確定申告するのが有利というケースもあります。
しかし、確定申告する配当金は、総合課税か申告分離課税のいずれか1つのみに統一しなければならないことになっています。
それを踏まえたうえで、有利な方法を決めることが必要です。
DRIPも課税される
DRIPによる買付では、配当金が発生した時点では課税されませんが、所得としてカウントはされますので、税務申告の際に税金を納付する必要が出てきます。
この点、課税されないと勘違いしている人も多いようですが、決して課税されないわけではありません。
米国国証券会社と国内証券会社との違い
米国株を米国証券会社経由で取引したのか、国内証券会社経由で取引したのかによって、税金の取扱いに、次のような違いがあります。
・特定口座(源泉徴収あり)がないので、確定申告しないという選択肢はない
・売却損と配当金との損益通算はできない。
・損失の繰越はできない
申告分離課税として申告することにより、国内証券会社での上場株式の売却損との損益通算は可能です。
損益通算をした結果、国内証券会社経由の売却損が残った場合は、その損失は翌年以降に繰り越すことが可能です。
まとめ
今回の記事は、いかがでしたでしょうか?
国内外の配当金とも、確定申告するか源泉徴収で済ませるかは受け取る配当金ごとに選択することができます。
ただ、確定申告することを選択した配当金については、総合課税もしくは申告分離課税のどちらかに統一する必要があります。
事前のシミュレーションを行い、ご自身がどの方法を選ぶのが最も税額が少なくなるのかを把握した上で確定申告するようにしましょう。
また、税制度は毎年のように変更されますし、個別事案ごとに適用されるケースが違ったりもしますので、税務署や税理士などに相談の上、判断することも大切です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回の記事が良ければ、ブックマークとスターをお願いします。
また、SNSでシェアして頂けると、モチベーションが上がります。
今後も役に立つ、記事を配信していきます!