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こんばんわ。管理人のuncleゆーさん(@UncleYusan)です。
MM2Hに関して、取得条件を厳格化して、今年10月から再スタートさせるとの発表が8月にありましたが、州や関係者からの猛烈な反発を受け、担当大臣が「再検討」することを約束しました。
このことは、以前の記事でお伝えしました。
MM2Hが再開される10月まで1週間を切りましたが、マレーシア政府から今だ見直し案が示されていません。
そこで、今回の記事では、前回の記事以降に行った事柄を整理したうえで、今後、どのようなことが想定されるのか考えてみたいと思います。
MM2Hの取得条件の再検討に関する記事はこちらをご覧ください。
サラワク州・サバ州に対して取得条件の同一化を要請
実は、マレーシアのMM2Hは、3種類あります。
連邦政府が行っているもの(マレー半島)、サラワク州(ボルネオ島)のもの、サバ州(ボルネオ島)のものです。
サラワク州の取得条件は、これまでも連邦政府の取得条件とは多少異なった独自のものを採用していました。
一方、サバ州の取得条件は、連邦政府の取得条件に準拠して運用を行っていました。
連邦政府のものは、マレーシア全土に住め、サラワク州のものやサバ州のものはそれぞれの州にしか住めないと考えるのが普通だと思います。
しかし、実際は、これが全く逆で、サラワク州やサバ州のMM2Hのホルダーは、それぞれの州以外にもマレー半島側にも住むことができます。
一方、連邦政府のMM2Hでは、サラワク州やサバ州には住めません。
今回の連邦政府のMM2Hの取得条件のとんでもない改悪に対して、そんなにハードルをあげてしまうと申請者がいなくなってしまうと考えた、サラワク州はこれまでの独自の取得条件を維持することをすぐさま表明しました。
サラワク州のMM2H「S-MM2H」については、こちらの記事をご覧ください。
また、サバ州も連邦政府の取得条件と決別して、"SB-MM2H"と呼ばれる新しい取得条件を付したプログラムをつくる動きが出ています。
もしこのまま大きく異なる取得条件の制度が並立して再開してしまうと、新規申請者のほとんどがサラワク州やサバ州に流れしまうと考えた連邦政府は、両州に対して同一歩調をとるように求めました。
なぜ両州は独自のMM2Hを行うことができるのか?
どうしてサラワク州やサバ州が特権とでもいうことができる、独自のMM2Hを持つことができたのでしょうか?
それは、マレーシアには「1959/63年移民法」という法律があり、その第64、65条に、マレーシア連邦に後から合流した両州に外国人の入国及び滞在などの移民問題に関する管轄権を付与するという特別規定があるからです。
それでは、両州はどうして移民問題に関する管轄権という強力な権限を付与されたのでしょうか。
その理由は、マレーシアの建国の際の事情にあります。
マレー半島では、第二次世界大戦が終わると独立の気運が盛り上がり、1957年にマレーマラヤ連邦として独立しました。
その後、ボルネオ島のサラワク州、とサバ州、それに現在のシンガポールとブルネイでマレーシア連邦を結成しようとする動きが起こりました。
今のままでは、経済の実権を握る中国系に支配される恐れたマレー系の人々がボルネオ島の住民を加えて、マレー系の人口比率を高めようと企てたことが発端です。
石油の豊富なブルネイは連邦への参加を拒否しましたが、サラワク州、サバ州とシンガポールが1963年にマレーシア連邦に参加しました。
その2年後、マレーシアから追い出されるような形で、シンガポールは独立しましたが、サバ州とサラワク州は連邦に残留することになりました。
その時、両州は残留する代わりに大幅な自治を認めてもらったのです。
それ以来、両州の自治権は独立国並みに強さを誇っています。
その例としてよくあげられるのが、同じマレーシア人であっても、マレー半島側の人間が両州に入国する際にはパスポートの提示が求められ、審査を受けなければならないということです。
両州に独自のMM2Hが認められているのも、連邦政府のMM2Hでは両州に住めないのもこうした事情によるためです。
内務大臣がMM2Hの新条件の見直しに関して言及
9月24日、ハムザ・ザイヌディン内務大臣は、公式の場で、より厳格になったマレーシアの新しい取得条件を擁護する発言をする一方で、「新しい取得条件は新規申請者にのみ適用される」とも述べました。
前回の記事でも既存の取得者に関しては、なんらかの見直しを行われるだろうと書きましたが、恐らくこの点は間違いなく見直されることになりそうです。
MM2Hは今後どうなるのか?
連邦政府は新しい取得条件は新規申請者にのみ適用するということでとりあえず10月に再開させたいと考えるのではないかと思います。
本来なら、連邦政府は、両州を説得して同一条件で行うのが連邦政府にとってベストですが、これは絶対あり得ません。
もしそんなことをすると、これまで認められてきた様々な強力な自治権を両州が自ら放棄することにつながるからです。
連邦政府が強引に両州に従わせるようになんらかの圧力をかけるというのも国の分裂につながるような火種となるため、恐らくそこまではしないように考えられます。
となると、大きく取得条件が異なる3つのMM2Hが併存して再開するというシナリオがが一番現実的ではないかと思います。
再開後は、新規申請者のほとんどは、サラワク州やサバ州のMM2Hに応募することになるでしょう。
これに対してマレー半島側の州(特ジョホールバル州)はどういう反応をとるかですが、それほど大きな反発はないように思います。
なぜなら、サラワク州やサバ州のMM2Hのホルダーは、マレー半島側でも住むことが出来るからです。
首都クアラルンプールやペナン、ジョホールバルなどは、移住地として人気が高いので、両州で取得した多くの人はいずれこうした人気の土地に移り住んでいくと考えられるからです。
ただし、サラワク州MM2Hのホルダーは、「毎年少なくとも15日間滞在」が義務付けがあるので注意が必要です。
今回の取得条件の改悪で最も影響をうけるのは、取得を代行するエージェントです。
今後は、サラワク州やサバ州に拠点を移さないとビジネスは厳しくなります。
結局、今回の取得条件の改悪により、マレーシアは、MM2Hのプログラム参加者を減少させ、連邦政府のMM2Hの既存取得者や新規申請者は、取得のためサラワク州やサバ州とのやりとりや滞在などでこれまで以上に余分の手間が増えることになりそうです。
まとめ
今回の記事は、いかがでしたでしょうか?
月曜日以降、見直し案に関して、マレーシア政府から正式な発表があるはずです。
発表があれば、またこのブログでレビューしたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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